平成27年3月16日付諮問に対する最終答申(案)について
前回の審議会での協議内容を踏まえた最終答申(案)が事務局より提示され、審議の結果、答申内容を決定しました。
【答申の主な内容】
1.はじめに
平成22年4月に水道料金の改定が行われて以来、今年で6年目を迎えている。
前回、料金改定に先がけ、平成20年6月、本審議会の前身である水道事業経営審査会において市長から諮問を受け、平成21年度から35年度までの第7次整備事業計画を履行するための財源確保の方策について審議したところ、料金改定が必要であるという結論に至り、平成22年度から平成27年度までを料金算定期間とし、まず平成27年度までの事業費約45億円の財源を確保するため、10%の値上げを敢行することとなった。
この間、水道事業を取り巻く環境は年々厳しさを増しており、人口減少や景気低迷などから水需要が低下し、水道料金収入は減少の一途をたどっている。
一方、支出においては、第7次整備事業は概ね計画どおり履行されているものの、依然として老朽化に伴う施設・管路の更新需要には追いついていないのが実情であり、平成28年4月からの簡易水道事業統合によって、さらに維持管理費用が膨らんでいくものと思われる。
このような中、水道局は、浄水場運転管理業務の外部委託や水道施設監視システムの統合更新、人件費の削減などコスト縮減、経営の効率化に向け真摯に取り組んできたが、内部努力だけで賄える額には限度があり、平成28年度以降、第7次整備事業を遂行するために必要な約65億円分の財源を確保できない状況となっている。
そこで、本審議会においては、財源確保の方策として水道料金の改定は致し方ないものと判断しつつ、改定方法について配意すべき事項として、次の四点に着目しながら審議を行った。
(1)今後の第7次整備事業の遂行にかかる事業費を確保しながら、簡易水道事業統合後も安定した事業経営を行うための収入を賄えること。
(2)改定率については、平成29年度に消費税10%への増税を控えていることから、できるだけ低く抑えること。
(3)料金算定期間は、できるだけ黒字経営が持続する期間内で設定すること。
(4)料金体系については、平成21年度経営審議会でも答申したが、口径別料金体系への移行を視野に入れること。
2.答申
(1)料金改定率について
第7次整備事業に必要な残り65億円の財源確保について、平成28年度から事業終了年度の平成35年度までの8年間を料金算定期間と仮定すると、総括原価に対して10%の料金改定が必要となる。
しかしながら、最近の諸物価の高騰や平成29年度の消費税増税の影響を考慮すると、市民の負担感を極力軽減することが望ましい。
また、算定期間を長期に設定することは、将来予測にズレが生じる可能性が高くなるとともに、料金改定率も高くなるなどの弊害がある。
従って、料金改定率は、総括原価に対して8%と可能な限り低く抑え、算定期間についても、8%改定により概ね安定経営が見込まれる平成33年度までの6年間に短縮とする案を妥当なものと判断した。
そこで、宇和島市の水道料金適正化のため、平成28年4月から料金改定を行うこととし、算定期間を平成33年度までの6年間としたうえで、改定率は総括原価に対して8%の値上げで実施されたい。
なお、浴場用料金については、関係法令「公衆浴場の確保のための特別措置に関する法律(S.56制定、H.19改正)」等の趣旨に則り、公衆衛生の維持向上の観点から、今回は据え置くものとする。
(2)料金体系について
料金体系については、「将来的に現在の用途別体系から口径別体系へ移行すべきである」という前回の答申と全く同じ考えであるが、現時点では家庭用と業務用など用途間の較差があまりにも大きく、使用水量20m3/月を例に算定すると1,660円/月の価格差があるため、今回一気に口径別体系へ切り替えるのは困難であると思われる。
しかし、今後料金改定の都度、用途間の較差を約200円ずつ小さくしていき、この先3回程度の改定を経て、使用水量20m3/月における家庭用料金と業務用料金の差額が1,000円程度となれば、口径別体系への移行が可能となるものと考える。
よって、用途間較差を是正するため、家庭用料金と家庭用以外(業務用、工業用)料金に対する改定率をそれぞれ異なる比率で定めるものとする。
そのうえで、基本水量料金内で生活されている水道使用者への配慮として、家庭用の基本料金改定率をやや低めに抑え、基本水量超過分にかかる改定率を高めに設定することで調整を行うこととする。
(3)水道料金改定(案)について
上記の答申内容に沿った水道料金改定(案)を、以下のとおり提示する。
水道料金改定(案) 【税抜き】
用途 |
水量 |
旧料金 |
改定率 |
新料金 |
上昇額 |
家庭用 |
基本(8㎥まで) |
1,320円 |
8.3% |
1,430円 |
110円 |
超過(1㎥につき) |
215円 |
14.9% |
247円 |
32円 |
業務用 |
基本(10㎥まで) |
2,360円 |
5.9% |
2,500円 |
140円 |
超過(1㎥につき) |
320円 |
4.7% |
335円 |
15円 |
工業用 |
基本(200㎥まで) |
44,600円 |
5.4% |
47,000円 |
2,400円 |
超過(1㎥につき) |
320円 |
4.7% |
335円 |
15円 |
浴場用 |
基本(170㎥まで) |
14,600円 |
0.0% |
14,600円 |
0円 |
超過(1㎥につき) |
145円 |
0.0% |
145円 |
0円 |
3.今後の水道事業経営について
今後の水道事業経営に際して、本審議会から次のとおり提言する。
(1)水道局は、事業経営の更なる効率化に向け真摯に取り組み、この先水道使用者の負担を最小限に抑えるべく、最大限の企業努力を払い続けること。ただし、水道事業としてサービス低下につながらないよう適正な人員配置を行うこと。
(2)今後の料金改定に際しては、口径別料金体系への移行を目指し、段階的に用途間の料金較差を是正していくこと。
(3)次回の料金見直しについては、できるだけ赤字に陥る前に改定を行うよう、時期を十分配慮すること。
(4)水道料金改定を実施するにあたり、広報やホームページ等で、できる限り分かりやすい説明を行い、水道使用者から理解を得られるよう努めること。
(5)水道局は、水道ビジョンに記載のあるとおり、今後も水道使用者に安心・安全な水を提供し続けるため、技術継承や人材育成に鋭意取り組むこと。
(6)海底送水管については、布設替工事に多額の費用を要することから、国庫補助金や一般会計からの繰入等、十分な財源確保を行った上で、水道料金の値上げに大きな影響を及ぼさないよう、将来的な更新の時期を検討すること。
以上のような内容で、平成27年9月10日審議会から市長に答申されました。
本料金改定は12月議会に上程予定です。
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