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本丸石垣解説-宇和島城石垣指南その4

印刷用ページを表示する 記事ID:0067653 更新日:2021年10月5日更新

幕末の修理石垣!

本丸石垣

延長:約193m
高さ:約4.6~10m
勾配:3寸5分~5寸勾配(約19~26度)
石材:砂岩 ◎宇和島ではよく採れる石です。

 本丸の石垣では、同じ面で2つの積み方の違いが明確に見て取れる箇所があります。(図1の1)

江戸時代の絵図
図1.江戸時代に描かれた本丸の絵図
(青線の範囲が本丸石垣になります)

 左上半分では、隅角部は鑿(のみ)加工石材を用いる『切込(きりこみ)ハギ』、築石部は玄翁(げんのう)加工石材を用いる『打込(うちこみ)ハギ』で、間詰石はあまり使わず、隙間なく組み合わせて積み上げられています。また隅角部は長方形の石材を短辺と長辺が交互にしながら積み上げる『算木(さんぎ)積み』が徹底されていません。右下半分は自然石材を用いた『野面(のづら)積み』です。

 これらの特徴から右下半分は17世紀初頭頃に築かれ、左上半分は幕末頃に修理されたものと考えられます。

 

本丸石垣 レーザー計測
図2.レーザーで計測した御書物矢倉下の石垣の図面(図1の1)

本丸石垣 写真
図3.上の図面と同じ場所を撮影した写真
★の位置は下段からすると短い面になるはずが長い面になっており、算木積みが徹底されていません。石垣技術の伝承が薄れてくる幕末の隅角部の特徴です。

櫛形門跡
写真1.櫛形門跡

 図1の(2)では櫛形門跡を見ることができます。こちらの石垣は長門丸の石垣と同じく角が算木積で築かれており、整形された石材と間詰石を用いて組み上げられています。
 17世紀後半頃の宗利による大改修の頃のものと考えられます。

匠の覚書

 角の部分を隅角部(ぐうかくぶ)、間の部分を築石部(つきいしぶ)と呼びます。さらに隅角部は角石(すみいし)と角脇石(すみわきいし)に、築石部は大きな石材の築石とその間を詰める間詰石(まづめいし)に分けられます。

 また石材加工の度合いで野面積み(※無加工)、打込ハギ(※粗加工)、切込ハギ(※精加工)の3種類に分類されることがあります。