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市指定 木造不動明王立像

印刷用ページを表示する 記事ID:0002384 更新日:2015年7月1日更新

市指定有形文化財(彫刻)

木造不動明王立像の画像1木造不動明王立像 一躯

  • 指定日 平成二三年六月九日

 不動明王と呼ばれるのは、火を観想して動ぜず、あらゆる障害を焼きつくす大知の火を身から発することに由来するといわれる。また、不動明王は、大日如来が一切の悪を降すため、忿怒相に化身したとされる像である。

 この不動明王の像容は、明王のなかでは唯一の一面二臂、腹の出た肥満体。腰を右にひねり、左足をやや前に出した立像である。右腕に三鈷剣、左腕に金鐶のついた羂索を持つ。青黒の地肌に赤茶けた条帛や裳をまとう。火焔光背を負い磐石座(岩座)に立つ。

 頭髪は巻髪にして先を束ね、左肩に垂らして弁髪としているが、大半は背中に流している。頭の正面に花冠、頭頂には花形に髪を束ねる莎髪で飾っている。

 額に波形の三筋の深い皺。逆八の字につり上がった大きな眉毛。右眼は大きく見開き、左眼は伏目の天地眼。口はへの字に結んで、牙歯をむき出した忿怒相である。しかし、よく見るとその奥に童顔が潜んでいるようにも思える。

 青黒の汚い肥満な体躯に、古びて赤茶けたなんともいい難い色の条帛や裳(裙)が着付けられている。裳裾の前を上げ、後ろをなびかせて動きを見せながら、二本の足で岩座に踏ん張っている。

木造不動明王立像の画像2 裳の衣文の彫りは鷹揚であるが、腰布の結び目を長く前に垂らして装飾としている。しかし、左肩前の衣文の彫りは、他に見られない鋭いタッチである。

 平成二一年、文化庁奥健夫調査官の調査によると、「像高六五・〇cmの不動明王立像は、木造・桧材・割矧造・平安時代末期(一二世紀頃)の作と考えられる。また、両肩先・両足先は後補。足ホゾは後補で別材を嵌め込んでいる。彩色は、青地に花丸門を散らし、裙は朱地に縁は白地に丸文繋ぎ錆下地も丁寧である。さらに、出来栄えがいい。彩色も古い。不動明王も平安時代末期の傑作であり、地域にとっても誇るべき貴重な文化財である」と評価されている。

 当不動明王の文化財指定により、有形文化財仏像彫刻分野のひろがりと充実をみた。


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