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県指定 正法寺観音堂

印刷用ページを表示する 記事ID:0002224 更新日:2015年7月1日更新

県指定有形文化財(建造物)正法寺観音堂

正法寺観音堂 一棟附厨子一基

  • 所在地 三間町黒井地
  • 所有者 正法寺
  • 指定日 平成一六年四月一六日

 黒井地城址の山すそに囲まれた正法寺は、山号を歓喜山といい「吉田古記」に「如意輪観音坐像古仏八寸斗、高野山金剛三昧院末寺」とある。また「開祖及び由緒不詳、檀家数百戸」と見えている。

 正法寺観音堂は、木造、茅葺(鉄板包み)、正面及び側面とも三間柱真々一六尺一寸七分(四・九〇m)宝形造づくり、背面には下屋を付属している。

 室町時代中期(一五世紀中期)に建立された、ほぼ純粋な唐様からなる仏堂である。柱の粽・頭貫の拳鼻・出組の詰組といった唐様の細部は正統であり、虹梁と大瓶束によって柱を省略する減柱造の架構を用いた本格的な唐様建築の形式を見せる点に特色がある。また、木鼻の意匠は独特で優れており、大瓶束や拳鼻は古い時代の形をよく残すものである。入側の化粧屋根裏とすべき所に斜めの板天井を張った痕跡があり、近隣に所在する文明一五(一四八三)年建立の善光寺薬師堂(国重要文化財・鬼北町)に先行する地方的手法として注目される。

 愛媛県域では、永享三(一四三一)年の祥雲寺観音堂(国重要文化財・越智郡上島町)に次ぐ建築年代の古さを誇るものである。特に、虹梁と大瓶束による架構形式を見せるものとしては、県内でも最古の例であって価値は極めて高い。また江戸時代中期の改造がみられるものの、主要な当初材の保存状況は年代の古さにもかかわらず極めて良好である。したがって室町時代の愛媛県域の文化の高さを示すものとして貴重である。

外部軒下斗栱

 堂内に安置されている附の厨子一基は、桁行一間入母屋造、平入、軒唐破風付、木瓦葺。室町時代後期(一六世紀前期)の造立と推定される本格的な唐様の厨子である。

 なお、観音堂の如意輪観音像は「子安観音」として地域の住民に厚く信仰されている。
(注)如意輪観音=如意宝珠と輪宝をもつ観音菩薩をいう。如意宝珠をもって衆生に財宝を与え、法輪を転じて衆生の迷いを破る菩薩とされている。


文化的景観
埋蔵文化財