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県指定 木造弘法大師坐像

印刷用ページを表示する 記事ID:0002245 更新日:2015年7月1日更新

県指定有形文化財(彫刻)

木造弘法大師坐像木造弘法大師坐像 一躯

  • 所在地 三間町則
  • 所有者 仏木寺
  • 指定日 昭和五四年九月一四日

 四国八十八か所の四十二番札所である仏木寺には、本尊の大日如来坐像のほか弘法大師坐像がある。

 この像は、像高八七・五cm、ヒノキ材、寄木造で、内刳りを施し、衲衣の上に袈裟をかけ、念珠を持った左手は左膝上に、右手は右胸前に五鈷杵を持っている。(高僧像様式)胎内仏が三躯ある。

 像容は、面奥も深く鎌倉彫刻らしく意欲的なものであるが、体部をまとう衲衣や袈裟と頭部のつり合いや膝のあたりの彫りに不自然さがあり、都風とは異なった地方色の顕著なものとなっている。

 顔や両手先のきめ細かな彫りに対して、左袖や左胸の衣文が鉈彫を思わせるような大胆な彫りを見せているが、これは昭和五一年、京都国宝修理事務所で解体修理によるものであることが、当時の新聞記事で分かった。

 平成二一年一〇月、この仏像を調査された、文化庁文化財部美術学芸課 奥健夫調査官は、「正面から一見すると弘法大師らしくないが、側面から見れば弘法大師そのもの。彫り方が独特でおもしろい。鎌倉中期に衣服のしわを面取りして山脈のようにかたい感じで表現し始める傾向もあるが、そうだとしても本像の彫り方は一部不自然。ある時期に手が入っているかも。と評価されている。

 彩色については、昭和五一年の解体修理の折、寺の記録により文化一一(一八一四)年に全身彩色されたと見られる色を落とし、木地のままで古色仕上げになっている(当時の新聞記事)。

 心束正面に「奉造営弘法大師御影像 正和四年十月五日御開…」(一三一五)、心束左側面に「大願主僧賢信敬白 □□□大佛師三位法橋行継」の墨書銘があり、鎌倉時代後期の作と知れる。この仏像は、弘法大師像のうち全国でも三番目の古さという。像の美術的価値もさることながら、四国霊場の大師信仰を裏付けるものとして意義深いものがある。

(注)心束=像心束とも言う。寄木造の支えになる中心になる束。


文化的景観
埋蔵文化財