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市指定 竜王鼻漣痕

印刷用ページを表示する 記事ID:0002373 更新日:2019年3月10日更新

市指定天然記念物

竜王鼻漣痕竜王鼻漣痕

  • 所在地 吉田町立目
  • 所有者 国・個人
  • 指定日 昭和五九年二月一七日

 宇和島湾出口北岸に、竜王鼻と呼ばれる小突端があり、珍しい漣痕が波で削られた海食崖面と海食台に露出している。

 漣痕のある海食崖面は暗灰色の砂岩・泥岩よりなり、南西向きで海面から急傾斜で立ち上がり、右下がりの縞模様となっている。波浪線より上はウバメガシの純林となっている。漣痕は厚みが二~三cmの黒色の砂岩で、堆積層が上下逆転して裏面を見せ、人の拳大の膨らみが鱗状に斜面に広がっており、その広さは底幅一〇m・斜面長六mのほぼ台形である。しかし、漣痕部分の剥離がひどく進み右下がりの縞模様となっている。

 崖下の海食台(通称ひらとこ)は春の干潮時には広い面積の平坦な岩場が海面上に露出するが、漣痕のある地層は、崖部の漣痕と連続して断面を見せ、砂岩・泥岩互層の中に、同じ角度で板状に噛みこみ、縦縞模様を呈している。視認できる漣痕層は断片的であるが、最長二六mのものの外大小二〇余列もあり、この領域は、海食崖に平行した半円形で、最大幅六〇m、延長一五〇mにも及んでいる。

 この地質は、四万十帯三間層で、付近から、カキ・ミノガイ・イノセラムス・ウミユリ?・ウミユリ生痕?及び植物の石炭化したものが産出し、その年代は、中生代白亜紀後期コニアシアン時代八〇〇〇万~一億年前とされている。

 漣痕の成因は、四万十帯が秩父帯の南縁に到達した後、堆積した地層の上に浅瀬ができ、波によって砂面がゆらいで規則的な砂紋が生じ、その上に砂や細粒砂が静かに堆積して保護、さらにその上に砂紋が生じるパターンを繰り返し、厚い地層を形成しながら沈降していった。その後、新生代第四期(二〇〇万年ほど前)に起きた地殻大変動により、複雑な隆起・移動・褶曲を経て今日見る地形となり、それからの波によって陸地は後退し、海食台と海食崖ができ、漣痕が露出したものである。

 また、この台地には漣痕以外に赤色泥岩が東西に二本延びているのが見られる。大は幅五m・長さ三五m、小は幅五m・長さ七mもあり両者ともに大きく褶曲しており、大変美しい景観として見る事ができる。このような赤色泥岩がこんなに大規模で美しく見られる場所は、たいへんに少なく貴重な存在である。また、本地層は、堆積した場所や環境を示す場所としても大切であるが、近年台風等の波の影響で剥落が進行しており、この漣痕の消滅が危惧されるところである。

(注)

  • 地層は劈開と節理を発達させた走向N四五W・傾斜角五五度である。
  • 干潮時以外は水没するので近寄る場合は注意すること。

文化的景観
埋蔵文化財