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市指定天然記念物
楠 二本
三間町宮野下、三嶋神社の鬱蒼と茂った樹木の中で西側にあるクスノキ二本は、特に大きな円形の樹冠をつくり、照葉で輝くこの巨樹の雄姿は、遠くからでも眺めることができる。
上段のものは、西の斜面肩部にあって胸高幹周五・八m、根回り一〇mあり、地上五mで幹は南北に大きく二分岐し、更に二m上から分岐を重ねその樹冠は東に一五m西に一二m、南に一五m、北に九mと広げ、頂部の高さは二八mに達している。
下段のものは、南へ一六m離れた斜面石垣下にあって太い根を露出し、その根回りは一四m、胸高幹周五・七mと前者とほぼ同等である。樹幹は地上三mで大きく四分岐し、上へと分岐しながら大きい樹冠をつくり、東に八m、西に一八m、南に一五m、北に一四mと広げ、樹高は二五mに達している。双方とも遮るもののない風衝地に二者が寄り添い、四方を威圧しながら社殿や風下の樹木を守っている様は、まさに本社の主木である。
樹勢は旺盛で空洞や枯れ枝は見当たらず管理のよさが伺える。クスノキはスギとともに長寿木であるなかで、地元では、本樹は七〇〇年とも一〇〇〇年とも言われており、市内に現存するクスノキとしては最古最大であるが、県下にはクスノキの巨木は多数現存することから順位的には未だ低い。しかし、『清良記』承応三(一六五四)年には「三嶋大明神の社頭四方の楠は、如何なる言われにや、西向き楠と言いしが四本同じ如くの木振りにて、一様に西に傾ぶきたり」と記されていることからも当時すでに大木が茂っていたことが伺える歴史的にも価値ある樹である。