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県指定 ソテツ

印刷用ページを表示する 記事ID:0002364 更新日:2015年7月1日更新

県指定天然記念物

ソテツソテツ

  • 所在地 津島町曽根
  • 所有者 光圓寺
  • 指定日 昭和四四年二月一八日

 このソテツは津島町曽根の光圓寺(浄土真宗)境内に生育する。この寺は元文年間(一七三六~一七四〇)に焼失した。記録によれば天明五(一七八五)年一一月の建立とある。現在の建物は昭和五十五年に新築された。

 光圓寺のソテツは堂々たる風格を備えており、樹齢は三〇〇年を超える。中心になるソテツは雌株で、高さ四・七~六・六m。主幹は根回り一二・三m、幹周り二・七mに達し、根もと五本の幹が放射状に出ていて、東西一二・三m、南北八mに広がる。樹勢は旺盛で毎年赤い種子を多数つけている。近年、台風の被害を被り、部分的に幹が折れ、保護の手も加えられている。周囲には雄株も健全に育つ。また、地面からは若い株が幾本も生長している。このような自然発芽は、当地方ではたいへん珍しい。

 光圓寺の境内は南向きで波静かな湾に面する。寺の背後には照葉樹に覆われた山林をひかえ、冬の季節風の影響も受けにくく温暖である。

 九世常盤酬圓住職の話によると、このソテツは、光圓寺を開基して間もなく、曽根の海岸に漂着していたのを、開山の正念大法師(元禄一一年・一六九八年没)が庭に植えたと言い伝えられている。

 ソテツはマツやイチョウと同じ裸子植物でソテツ科に属する。この科は世界に約八〇種が知られているが、日本にはソテツ一種だけである。

 ソテツは九州南部以南に分布。宮崎・鹿児島両県には自生地があり、大群落を形成しているところもある。海外では中国や台湾に分布する。

 ソテツは暖地性の常緑低木で、普通二~四mの高さになる。生育場所はおもに沿海地で、断崖や風衝地に生える。園芸的な価値が高く、公園や庭などに植えられる。

 ソテツは雌雄異株で花期は夏。雄花は円柱状で長さ四〇~七〇cm、雌花は卵形で、長さ約四cm。種子は秋に赤く熟す。種子や幹の髄には、デンプンや有毒成分(ホルムアルデヒド)が含まれる。かつて南西諸島では飢饉のとき、この種子や幹の髄を砕いて水にさらし非常食にしたという。

 ソテツの種子はせき止めや切り傷の漢方薬としても利用される。採取時期は晩秋の頃で陰干にする。

(注)ソテツの実と呼んでいる部分は種子である。ソテツは蘇鉄と書く。これは、衰弱した幹や根元に鉄釘をさすと蘇生することに因む。


文化的景観
埋蔵文化財