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県指定天然記念物
サギソウ自生地
サギソウ(鷺草)は花の形が、羽を広げた優雅な白鷺の姿に似るところからこの名がついた。観賞価値が非常に高いので全国的に愛好者が多い。
津島中学校の校章はこの花を図案化している。
サギソウは日当たりのよい低地の湿地帯に生えるラン科の多年草である。七、八月頃、一五~四〇cmの花茎を伸ばし、その先に一~二個の白い可憐な花(直径約三cm)をつける。葉は茎の下部に数個つく。地下には楕円形の球茎(径約一cm)がある。晩秋には地上部や地下の部分が死滅するが、新しくできた球茎が残り、翌年はこれに幾つかの新株がつくられる。こうして毎年世代の交代が行われ、子孫を増やしていく。自然界では、サギソウは他の湿地植物と群落をつくり生育している。つまり、お互いが共同生活をしているのである。
サギソウ自生地は津島町御内の源池公園内にあり、周辺は田園地帯である。かつて、園内の湿地帯(一〇アール)には多数のサギソウが咲き乱れていたが、ここ幾年も花を見ない。また、公園内にはノハナショウブが咲き、ため池にはジュンサイやタヌキモなど貴重な植物も見られたが、これらの姿も消えている。今はススキ・ガマ・スゲ類が大繁殖をして往時の景観は見る影もない。
サギソウは本州・四国・九州、国外では朝鮮・台湾に分布するが、野生種は、カンランやエビネ同様、どの地域でも絶滅の危機に瀕している。その原因は環境の悪化、園芸採取などである。
サギソウは「レッドデータブック」によると、愛媛県カテゴリーでは絶滅危惧1B類、環境省カテゴリーでは2類に指定されている。
愛媛県内のサギソウ自生地は、当地域と今治市(孫兵衛作・蛇越池)の二か所が有名である。今治市では、サギソウを含む多数の湿地植物の保護活動が続けられている。
津島町御内はサギソウの自生地として広く知られていた。過去には、この地域では至る所にサギソウの姿が見られたが、病気や乱獲により次第に個体数が減少していった。その後、保護・増殖も行われ、しばらくは開花を続けたが、しだいに減少し現在に至る。
サギソウは環境の変化やウィルスに非常に弱い植物である。地元では今、わずかに残るサギソウ群落を大切に保護している。何とかしてもう一度往時の再現を図りたいと、懸命な努力が続けられている。