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県指定 大ウナギ

印刷用ページを表示する 記事ID:0002362 更新日:2015年7月1日更新

県指定天然記念物

岩松公民館に展示されている大ウナギ大ウナギ

  • 所在地 津島町岩松川
  • 所有者
  • 指定日 昭和四三年三月八日

 津島町岩松公民館に入ると、一階ロビーに大きな魚の標本が展示してある。これがオオウナギで昭和三二年四月二〇日、岩松川支流の増穂川で捕獲された。体長は一・五六m、体重一二・一五kgの巨大なウナギである。

 岩松川水系では、これまでに幾匹も捕獲されている。最大のオオウナギは昭和一〇年夏に捕獲されたもので、長さ二m、体重二一・七kgという記録が残る。当時、「少年倶楽部」という雑誌にこれが掲載され、たちまち全国に知れ渡った。

 小説「てんやわんや」で有名な作家、獅子文六は岩松川のオオウナギを「名物にあらず化け物なり」と言って驚いたという。

 巨大でグロテスクなこの魚については伝説も少なくない。岩松川のオオウナギは、高田八幡神社の宝刀「瀬上の太刀」で切られた大蛇の化身という言い伝えもある。

 オオウナギについては、アカウナギ・ウツボウナギ・ゴマウナギなどの別名もある。稚魚は南方産のシラスウナギである。

 オオウナギは、ウナギの巨大化したものではない。まったく別種である。体長一・五~二m。口は受け口。全体的に黄褐色で、腹部はウナギほど白くない。側背部には暗褐色の斑紋が散在する。

 オオウナギは淡水性の魚で本州・四国・九州・南西諸島・西南太平洋・インド洋などに分布。本種は個体数が非常に少なく、限られた地域の河川に分布する。四国では、愛媛・徳島・高知の一部の河川にしか生息しない。徳島県産のオオウナギは国の天然記念物に指定されている。

昭和40年代に撮影した大ウナギ オオウナギの生態については、徳島県で詳細に報告されている。それによると、河川の水深数mの水底や岩の間などに潜む。夜行性でおもに小魚やカニ類を捕食するが、ヘビなども食べる。日中は水底で腹を上にして寝たりもするという。行動は春から夏に活発で、夏には上流の水溝にも移動し人目にふれることもある。オオウナギは捕獲しても数日で死亡。したがって飼育は困難である。低温に弱く、冬は水底で土砂にもぐって冬眠する。

 オオウナギの魚肉には油が多く、身にはしまりがないので、たいへんまずい魚の部類に入る。

 オオウナギは希少種である。本県では絶滅危惧2類に指定。最近、岩松川水系では個体が確認されていない。愛南町ではごく少数の生息が報告されている。平成二十六年一月津島町近家の本谷川(岩松川水系ではない)で本種が捕獲された。体長八十一・三センチメートル。岩松川水系の生息環境が整えば、また本種の姿を目にすることができるかも知れない。


文化的景観
埋蔵文化財