本文
令和6年度 華宵の部屋
(企画趣旨)
今回の「華宵の部屋」は、初めての試みとして、華宵作品を使った現代アート作品を展⽰します。アーティスト・太⽥三郎が華宵作品に⻄東三⻤の俳句を合わせた作品「三⻤と三郎と華宵」シリーズです。
太⽥三郎(1950 年⽣まれ・⼭形県鶴岡市出⾝)は、切⼿を⽤いたユニークな作品で知られるアーティストです。場所、時間、記憶、戦争、災害、⼟地など様々なテーマに向き合い、数多くの優れた作品やシリーズを発表してきました。太⽥三郎は、2017 年頃から、新興俳句の旗⼿として昭和初期から注⽬を集めた俳⼈・⻄東三⻤(サイトウ サンキ/1900 年〜1962 年・岡⼭県津⼭市出⾝)に興味を抱き、⾃らが撮り貯めた写真に⻄東三⻤の俳句を添えた作品(《三⻤と三郎》シリーズ)を制作し始めます。⻄東三⻤の俳句は、詠まれたその情景が⽬の前に迫ってくるような描写が特徴的です。
「三⻤と三郎と華宵」シリーズは、2023 年に⾼畠華宵⼤正ロマン館の展覧会にあわせて発表されました。太⽥三郎が華宵作品と⻄東三⻤の俳句を選び、繋ぎ合わせ、太⽥の代表的な表現⽅法である切⼿シートの形状で制作されています。太⽥三郎が⾼畠華宵と⻄東三⻤を結びつける試みは、⾔葉とイメージ(図像)の合体から⽣まれる新しい感覚を味わうアート体験を私たちに与えてくれることになるでしょう。
アート作品は既成の価値観や⾏為を問い直すきっかけを与えてくれます。いつもとは違う⾒⽅で世界を⾒ることは、私たちに新しい活⼒をもたらします。⻑い歴史と豊かな⽂化を持つ宇和島の地で、現代アーティストがもたらす俳句とイメージの交錯が、宇和島⽂化の未来へのチャレンジの⼀つになれば幸いです。 (高畠華宵大正ロマン館)