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平成30年7月豪雨では、大乗寺の近くを流れる河川が氾濫。お寺にも土砂が流れ込みました。お寺の裏山には市指定史跡の吉田藩主伊達家墓所がありますが、大規模な斜面崩落により土砂が流れ込み、石塔や柵、灯籠が壊れるなどの被害を受けました。
崩落した裏山
被災した宇和島藩初代藩主秀宗公 供養碑
発災後には、ボランティアによる土砂の撤去が行われ、崩落斜面の土留めが行われました。現場は急傾斜のためこれまで復旧作業が滞っていましたが、今年の9月から市教育委員会などと連携した復旧作業が本格化しています。今回は単に史跡の復旧を目指すだけではありません。復旧作業とあわせて、お墓がどのように成り立っているのかなど学術有識者や技術者を招き史跡調査を行うことも目的としています。県下で調査を伴う大名墓の復旧作業は珍しく、2年ほどをかけて調査と復旧を進めていく予定です。
ボランティアによる土砂撤去作業
大乗寺の河野 徹山 老師は、「作業箇所は吉田町三万石の礎を築いた方が安らかにおやすみになっているところです。普段はなかなかお墓の作りに触れることはありません。復旧を目指すことはもちろんですが、それだけではなく遺跡調査を行うことで吉田町の起源につながる何かが分かるかもしれません。災害は大変な被害をもたらしましたが、改めて吉田町の史跡が注目されることは前向きに捉えています。これをきっかけに、吉田町の歴史を学んでもらえたらと思います」と話してくれました。
大乗寺の裏山にある市指定記念物(史跡)の吉田藩主伊達家墓所。平成30年7月豪雨により裏山が崩れて被災。復旧とあわせて、遺跡調査の研究が進められようとしています。
広報うわじま 10月号 No.183より
(令和2年10月1日発行)