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教育長通信「あおぞら」vol.5 一新天地への旅
「一新天地」という言葉には、これまでの環境を一新し、新しい舞台で新たなスタートを切るという力強い響きがあります。人生には何度か、そのような瞬間が訪れることがあります。例えば進学や就職、転職や引っ越しなど、自ら選び取る変化もあれば、予期せぬ出来事により新しい環境に飛び込むこともあるでしょう。
私自身、これまで何度か「一新天地」を経験してきました。そのたびに、期待と不安が入り混じった特有の感情に包まれたものです。知らない土地での生活や慣れない仕事、新しい人間関係等に戸惑うこともありましたが、そういった新しい環境は自分自身を成長させる機会にもなりました。「最初は不安や戸惑いが大きかったけれど、今ではここが大切な居場所になった」という感覚を味わったことのある人も多いのではないでしょうか。
宇和島市においては、この春、大きな出来事がありました。吉田小学校・奥南小学校・喜佐方小学校・立間小学校・玉津小学校が閉校し、新たに吉田小学校が誕生しました。また、結出小学校が閉校し、遊子小学校と統合しました。閉校記念式典では校旗が返納され、長い歴史に幕を閉じました。
そして、桜満開の頃、新校舎で開校記念式典に参加する吉田小学校の子どもたち、遊子小学校に通う子どもたち、各小中学校で新学期を迎える子どもたちの姿がありました。もちろん、小中学校だけでなく、幼稚園や保育園、こども園や高等学校などそれぞれの場所で新しいスタートを切った子どもたちの姿がありました。まさに各所で「一新天地」の春を迎えたと言えるでしょう。
宇和島市教育委員会においても、新たな一歩を踏み出したことがあります。それは、愛媛大学教育学部との連携協力に関する覚書の調印式を行ったことです。愛媛大学教育学部と宇和島市教育委員会は、これまでにも「うわじま∞あいだいプロジェクト」をはじめ、宇和島市立小中学校の魅力ある学校づくりを推進するための交流を行ってきましたが、両者の関係を一層強化することで、教員養成・研修や教育実践、教育研究の充実・発展を図っていきたいと考えています。
このように、「一新天地」とは、単に新しい場所に足を踏み入れるだけでなく、そこでどのように新たな自分を見つけるのかという問いでもあるのだと思います。その先に広がる未知の世界には、もちろん困難が待っているかもしれません。しかし、それ以上に、新たな発見や喜びもまた私たちを待っていることでしょう。「今」の積み重ねが、これからの「新しい天地」をつくっていく。そう考えると、毎日が新たな一歩だと思えてきます。この言葉には、変化に向き合う前向きな心のあり方を促す力があるように感じます。
新しい場所へと踏み出すたび、そこには広がる新たな景色があります。その景色を眺めながら「一新天地」という言葉の意味を噛みしめると、自分の歩みが少し誇らしく思える瞬間があるのではないでしょうか。これからも、この言葉を胸に、未知の未来へと力強く一歩を踏み出していきたいと思います。