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教育長通信「あおぞら」vol.11 燈火親しむべし

印刷用ページを表示する 記事ID:0122397 更新日:2025年11月13日更新

 時期は少し過ぎてしまいましたが、10月27日~11月9日は読書週間でした。今回の表題「燈火(とうか)親しむべし」というのは、「秋の夜は涼しく静かで、灯火をともして読書や学問に集中するのに最適な季節である」という意味があり、古代中国の書物に出てくる一説が元になっています。

 ところで、みなさんは、読書はお好きですか?最近、どんな本を読まれましたか?

 先日、東京大学社会科学研究所とベネッセ教育総合研究所が共同で実施している「子どもの生活と学びに関する親子調査」結果が発表されました。それによると、1日の中で読書を「しない」(0分)と答えた小中高生が52.7%と半数を超えました。10年前の調査では34.3%で、読書を「しない」層が1.5倍に増加しています。

 一方、スマホの使用時間は増加しており、10年前と比べて小学4~6年生では22.4分、中学生では51.9分、高校生では42.5分増加しています。子どもたちが一日の中で自由に使える時間は限られていますから、スマホの使用時間が長くなれば、その分読書の時間が短くなるのは当然の結果だと言えるでしょう。

 学校に勤務していた頃、子どもたちと一緒に図書室の本を借りに行くと、すぐに本を選んで借りる子もいれば、なかなか決められない子もいました。休み時間など時間を惜しんで読書をする子もいれば、図書室で借りた本がいつまでも机やロッカーの中に入ったままの子もいました。こうした子どもたちの姿は、子どもたちが自ら形作ってきたものではなく、周りの大人たちの働きかけが大きく影響しているように感じられます。「本を読むのは好きじゃない。」「どんな本を読んだら良いか分からない。」…そんな子どもたちに、私たちはどう向き合っていけば良いか、いつも考えさせられます。

 読書が語彙力や読解力の向上に効果的であることや豊かな人間性を育てるために必要であることは十分に理解していても、前述した調査結果のように読書離れは進んでいます。「これだ!」という明確な解決方法を挙げることは私にはできませんが、子どもの頃出会う人の中に、楽しく読書をする大人がたった一人でもいたら、その後の人生に何らかの影響を与えるのではないかと感じています。

 娘二人が未就学児の頃、毎晩絵本の読み聞かせをしていました。教員として多忙な日々でしたが、寝る前の読み聞かせだけはしようと決めていました。それくらいしか子どもにしてやれることがなかったというのが正直な理由です。いつの間にか一緒に寝てしまい、夜中に起きてやりかけの仕事をしたことはしょっちゅうでした。

 そんな娘たちは、小学生の頃は比較的読書が好きでしたが、中高生になると全く本を読まなくなりました。大学に進学して帰省した際も見るのはスマホばかり。それでも、大学生活後半になった頃でしょうか、読書をする二人の姿を見かけるようになりました。あれほど読書をしなかった娘たちが自分で本を買ったり、家の書棚にある本を選んだり、いつの間にか読書生活が復活していました。もちろん、相変わらずスマホは手放しませんでしたが…。

 今度娘たちに、どうしてまた読書をするようになったの?と尋ねてみたいと思います。

 最後は、私が十年前に書いた文章です。当時の勤務校で作成していた「学校だより」に掲載しました。先生方には、「おすすめの一冊」を紹介してもらっていました。

 物心ついた頃から、読書が好きな子どもでした。保育園の頃、大きな声で音読していると、祖父がほめてくれたことを覚えています。小学生の頃は、「若草物語」のジョンに憧れ、江戸川乱歩シリーズは寝るのを惜しんで読みました。中高生になると、青春小説シリーズの主人公に自分を重ねたり、名作と呼ばれる本に挑戦したりしました。どうして読書が好きなのかと聞かれると、ありきたりですが、いろいろな世界を疑似体験できること、たくさんの人の考え方に触れることができることでしょうか。電車の中で読書をしていたとき、涙が止まらなくなり、困ったこともありました。気が付くと朝になっていたこともありました。皆それぞれ、「料理が好き」、「スポーツが好き」と、好きなものがあると思います。好きなことを思い切り楽しんでほしいなと思います。今の私が残念なことは、読書をする時間があまり取れないことと、小さな字が読みづらくなってしまったことです。メガネが手放せない年になってきました。