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教育長通信「あおぞら」vol.10 ご縁でつながる桐朋学園

印刷用ページを表示する 記事ID:0121837 更新日:2025年10月27日更新

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 東京都にある桐朋学園は、世界的指揮者である故小澤征爾氏を始めとして、音楽や演劇、学術分野で活躍し、社会に貢献する人材を多く輩出しています。その桐朋学園出身者の方々による、「2025ご縁で繋がるふるさと宇和島ココロまじわうミニコンサート」が、先月宇和島市内で開催されました。

 ところで、「ご縁」とはどんな「ご縁」なのでしょうか。それは、宇和島市吉田町喜佐方出身の故山下亀三郎氏が紡いでくださった「ご縁」です。「吉田三傑」の一人で海運王と謳われた亀三郎氏は、「船はいつか沈む。だが、人を育て心を育てる教育は永遠である。」との教育理念の下、全国に学校を創設しました。その一つが桐朋学園の前身となる山水中学校、山水高等女学校です。その桐朋学園によるコンサートが本市で初めて開催されたのは、今から2年前、令和5年のことになります。実は、平成30年7月の西日本豪雨災害をきっかけとして、令和2年にコンサートを予定していたものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により延期を余儀なくされていました。しかしながら、関係者の皆様のご尽力により、ようやく令和5年に開催の運びとなり、それ以来、そのご縁は毎年繋がっています。当時、実現に関わってくださった皆様方には心から敬意を表します。

 さて、3回目となる今年は、桐朋学園出身者で、国内、世界で活躍されるサックス、ホルン奏者5名の方が来訪され、3日間にわたる演奏活動が行われました。1日目は、吉田中学校と遊子小学校に近隣の小中学校児童生徒や地域の方をお招きしました。2日目は、歴史資料館を会場に一般希望者向けの演奏会が行われました。そして、3日目は、市内6中学校が出演する「うわじまっ子コンサート」にゲスト出演されました。これは、演奏者の方々が、吹奏楽部の生徒たちへリモートレッスンをしてくださっていたご縁から実現したものです。6月から9月の間に、約50回のリモートレッスンが行われ、コンサート前にはアウトリーチも実施され、中学生たちは自信を持って本番に臨むことができました。演奏を終え、サックス・ホルン奏者の方々と歓談する子どもたちの表情は晴れ晴れとしており、充実感を感じているようでした。

     

 さらに、今年は、山下亀三郎氏の生涯をテーマにした、組曲「海運王」(作曲:江原大介氏)が初披露されました。「海運王」は、「第一楽章 喜佐方の春」「第二楽章 どん亀」「第三楽章 離郷」「第四楽章 沈みつ浮きつ」「第五楽章 海運王」から展開され、亀三郎氏の波乱と希望に満ちた生涯が見事に表現されています。組曲の作曲者である江原氏も来宇され、作曲に向けた熱い思いを語ってくださいました。また、組曲の完成に伴い、絵本「山下亀三郎と桐朋学園」(ご縁で繋がるふるさと宇和島プロジェクト実行委員会作)も完成し、子どもたちや鑑賞者の方々に配付されました。大変素晴らしい内容で、深く心を揺さぶられました。

    

 音楽は、人々の感情や心に直接訴えかけ、人生を豊かにする力があります。楽しいときには喜びを倍増させ、悲しいときには慰めを与え、何気ない日常に彩りを添える存在です。また、国境や文化や時代を超えて人々を繋ぎます。桐朋学園との音楽を通じた繋がりは、まさに亀三郎氏が繋いだご縁そのものです。そこには、亀三郎氏の子孫である山下家の方々、桐朋学園関係者の皆様をはじめとし、その思いに感銘を受け一緒に繋がろうとされた全ての人々の思いが脈々と受け継がれています。その思いの糸はどんどん丈夫なものとなり、しなやかに伸び続けています。

 山下亀三郎氏と桐朋学園のご縁をこれからも繋いでいきたいと思います。