ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ

本文

第3回「暮らし」

印刷用ページを表示する 記事ID:0013926 更新日:2016年10月7日更新

暮らし

先週、山スキーの仲間達と富士山樹海近くにある知人の山荘に遊びに行った。25年前に建築され結構痛んでいたものを5年前に購入し、コツコツ自分で手を加えていったとのことであったが、直径60センチ以上あるような大きな丸太で組まれたログハウスは、青々とした外部の風景とマッチして、丸でカナディアンロッキーの山小屋にいるような素敵な雰囲気の山荘になっていた。

数年前に定年を迎え、今は悠々自適に暮らしている知人は、年に百数十日をこの山荘で誰にも邪魔されず一人で過ごし、時々家族や友人と時間を共有するといった羨ましいライフスタイルを楽しんでいる。他にも候補地があったらしいが、自宅のある横浜から2時間程で通えるこの地を選んで、あこがれの2拠点居住を実現した。

彼は、非常に器用でとてもまめ。室内は自分が暮らしやすい様にいたるところに工夫が凝らされていた。三面ガラス窓の大きな風呂場を檜風呂に改装し、みんなを唸らせる美味しい料理を作りだすキッチンは、多種多様な道具が、使い勝手のいいようにコンロ上の枠から吊り下げられていた。

彼の野武士のような風体からは意外だったものが、お風呂の隅に何気なく飾ってあったススキと、トイレの中にあった小さな花瓶にさした可愛いピンクの花であった。きっと天気のいい日には、お風呂場の窓を全部開け放って、ススキを通して外に広がる木々や、その間から見える空や星を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすのだろう。「都会の暮らし」と「田舎の暮らし」を両方交互に味わえるのは本当に贅沢な話だ。

「あー明日からまた仕事かー。」東京に帰る車の中で仲間がつぶやいた。人間本来の生命のリズムにあった「暮らし」が埋没してしまうような仕事中心の忙しい毎日。もっと四季の移り変わりや、ひとつひとつの出来事を、ちゃんと五感で感じながら、自分らしく丁寧に日々を積み重ねていく「わたしの暮らし」を取り戻したい。そう願う人達が自分らしい人生の過ごし方を求めて地方に移り住んでいくのも分かるような気がする。

私は今、大通りに面して常時車の走行音が絶えず、ベランダから見える景色は、隣のマンションの茶色い壁、というアパートの2階に住んでいる。テレビから一足早い季節の便りを知らされ「もう、そんな季節!」と驚くことも多い。2拠点居住は出来なくても、せめて季節の草花を買ってきて、部屋やトイレに置き、ちょっとでも「暮らし」の中に自然の移ろいを感じられるよう心掛けていきたいと思う。


宇和島市の移住支援
宇和島市移住コンシェルジュ

 【問合先】

 宇和島市総務企画部企画課

 798-8601
 愛媛県宇和島市曙町1番地

 Tel:0895-49-7105
 Fax:0895-20-1905
 E-mail:iju@city.uwajima.lg.jp