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第15回「加点法」

印刷用ページを表示する 記事ID:0032170 更新日:2019年3月29日更新

「加点法」

「自立支援介護」に関するセミナーに参加してみた。自分の老後のことも気になるが、今年95才になる母への接し方や、今後の介護に対しての心構えと知識を得たかった。

 何年か前から、「役立たずになった、役立たずになった。申し訳ない。」と母が嘆くようになった。家族としては、90才を過ぎて自分の身の始末ができるだけでも凄いと思っているのに、今でも毎日掃除機をかけ、家族の洗濯物を干し、夕方にはそれらを取り入れ、きちんとたたみ、たまに夕食の準備などの家事もしてくれているので、本当に「ありがたい!」と思っている。
 「そんなことないよ、90才を過ぎて寝たきりにならず、自分のことはちゃんとできるし、家事も手伝ってちゃんとみんなの役に立っているよ!」と何度言っても、母は情けない顔をしたままで、納得しない。その様子を見て「もっと素直に受け取れないものなのだろうか?自分のことをちゃんと評価できないのは、ほんとに勿体無い。」と思ってしまう私。

 家族の為にバリバリ働いていた若い頃の自分と比較すれば、あちこちの機能が衰え、思うように体が動かずに、情けなく思う気持ちは分からなくもないが、そう考えると何だか“損”をしているような気がする。潔く“老い”を受け入れ「しかし、まだこんなこともできる。」と角度を変えて捉えたら、心はずっと明るくなり、“お得”だと思うのだが・・・。

 そんな時に偶然手に取った小冊子の中に、是非母に贈りたいと思った言葉が見つかった。それは「今、自分にできること」についての文章だった。
 「もし病気になって入院したら、つらい人の話を聞こう。耳が聞こえなくなったら、自分の人生を語ろう。口がきけなくなったら、相手の手をさすろう。手足が動かなくなったら、にこにこ笑っていよう。」
 今、自分にできるささやかな事でも、人のお役に立つことが確実にあるのだ。それをひとつひとつ拾って数えていこう。

 若かった頃の自分を100点として、できなくなったことを数え減点していくか、もともとの自分を0点として「耳が聞こえる」、「話ができる」と今できる事を加点していくかが、幸せを感じることのできる大きな分かれ道だと思う。「加点法」で物事を考えれば、「老い」への不安も少しは軽くなるし、人生をより楽しめるような気がする。
 そして、「加点法」は色んなことに応用ができる。「自分」に対してはもちろんのこと、「家族・友人」、「暮らしているまち」に対しても・・・。
 新年度から、早速私も、あらゆる物事に対して、「加点法」実践してみることにする。


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