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第13回「思いいずるふるさと」

印刷用ページを表示する 記事ID:0029222 更新日:2018年10月31日更新

思いいずるふるさと

 指を動かすことによって認知症の予防にもなるのではないかと思い、今年の5月に思い切って地元のウクレレクラブに入った。歩いて10分程の公民館で、毎週金曜日13時半から2~3時間の練習をしている。メンバーは40代から80代で、多分平均年齢は70代になると思う

 メンバーの中には88歳の男性もいて、演奏を始められてからまだ2年も経っていないとのこと。86歳から全く新しいことにチャレンジしようとするその精神に脱帽。私がその年になった時に、果たして彼の様なエネルギーが残っているのだろうか?様々な個性の先輩達に囲まれ、毎回勉強させてもらっている。

 先日、地域のデイケアセンターで演奏会を開いた。子どもの頃、音楽の時間に習った「ふるさと」「里の秋」「故郷の廃家」や、70年代のフォークソング、ハワイアン、「津軽海峡冬景色」等、様々なジャンルの曲を演奏し、皆さんと一緒に大きな声で歌い、フラダンスも披露して、笑顔を見るのはとても嬉しく、楽しい。

 2か月前に「故郷の廃家」の曲を練習していた時、メンバーの一人が、「田舎は、昔も今と同じ状況はあったんだね。」と言った。明治40年に作られたその歌詞はこうだ。

幾年故郷 来て見れば 咲く花 鳴く鳥 そよぐ風

門辺の小川の ささやきも なれにし昔に 変わらねど

荒れたる 和が家に 住む人 絶えてなく

 現在の空き家、耕作放棄地問題を思い起こさせる状況は明治の時代にもあったのだ。愛着のある故郷がさびれていく姿をみるのは切ない。私の実家のある島根の町中でも、昼間人影を見つけることはめったにない。祭りの時以外はいつも静まりかえっている。

 本番で、「ふるさと」の曲を演奏する際、司会者が「皆様のふるさとはどちらですか?」と尋ねた。「福岡」「静岡」・・・と全国各地の県名があがった。まだ若い頃や働き盛りの頃、就職・就学・転勤・結婚などでふるさとを離れた方、老いてから子どもが呼び寄せたケース等様々な事情があって、ここに集っている。因みに前述の88歳の男性も、奥様を亡くされた後、家を売り払って、娘さんの住む町に引っ越し、高齢者用のアパートに入居されている。

 「志しを果たして、いつの日にか帰らん~」「夢は今も廻りて、忘れがたきふるさと~」と歌う度に、果たして、(皆さんの志は果たされたのだろうか?忘れがたいけど、故郷は遠きにありて思うものだったのだろうか?)と思いは巡る。

 自分の希望だけで決めるわけにはいかない事情も出てくると思うが、「終の住処」は何処にするか?何処になるか?たとえ何処にいたとしても、陽気にウクレレ弾いて歌っていたいものだ。


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