本文
宇和島の人~山下 秀文 さん

日本一に輝いた鐔師
山下 秀文 さん
Profileプロフィール
宇和島市出身の宇和島育ちで、実家は建設業。子どもの頃から刀好きの父が刀剣の手入れをする姿を間近で見て、人よりも刀剣に興味を持って育ちました。
刀装具の一つである鐔に魅了され、2001年、後に師となる玉岡俊行氏を訪れ、本格的に鐔を作り始めました。2008年に実家を継ぎ、家業と並行しながら現在も鐔の制作活動を続けています。
日本一の鐔
鐔は、刀剣の機能と美を兼ね備えた重要な刀装具です。刀剣の柄と鞘の間に挟むことで柄を握る部分を保護し、バランスを取るために作られました。刀装金具の一つとして発達し、直径10cmにも満たない小さな空間の中に、華麗な意匠や繊細な技法が施されています。一つの作品を完成させるのに最低でも1年かかります。
「桜九曜紋透紋二重唐草象嵌鐔」は、2年かけて完成させました。約400年の歴史の中で数人しか創り得ていない究極の画題です。この鐔は、2013年に公益財団法人日本美術刀剣保存協会に出品され、会長賞1席目を受賞し日本一に輝きました。
2年後の2015年には「武鑑透象嵌鐔」 (写真右) を出品し、二度目の会長賞を受賞しました。
「桜九曜紋透紋二重唐草象嵌鐔」は、2年かけて完成させました。約400年の歴史の中で数人しか創り得ていない究極の画題です。この鐔は、2013年に公益財団法人日本美術刀剣保存協会に出品され、会長賞1席目を受賞し日本一に輝きました。
2年後の2015年には「武鑑透象嵌鐔」 (写真右) を出品し、二度目の会長賞を受賞しました。

「良いものをつくりたい」
切実な思い
切実な思い
師匠に弟子入りする際、(1)20年辛抱すること、(2)富や名声は求めないこと、(3)鐔づくりはあくまでも趣味で仕事は続けることという3つの条件がありました。
今も師匠の教えを守り、日中は仕事、夜は鐔制作という二足のわらじで生活を続けています。限られた時間の中で制作活動に打ち込む日々。制作後はアドレナリンが出て2時間ほど眠れないこともしばしばあります。それでも、「良いものをつくりたい」という切実な思いで鐔と向き合っています。
今も師匠の教えを守り、日中は仕事、夜は鐔制作という二足のわらじで生活を続けています。限られた時間の中で制作活動に打ち込む日々。制作後はアドレナリンが出て2時間ほど眠れないこともしばしばあります。それでも、「良いものをつくりたい」という切実な思いで鐔と向き合っています。

きっかけは「つくってみたい」
家業が鉄を扱う仕事だったこともあり、仕事の合間に刀剣の鐔制作を始めました。初めて作った鐔は、実家の鉄板を使い、制作日数は2週間でした。試行錯誤しながら3枚目の鐔を作った頃、日本一の鐔師である玉岡俊行氏の新聞記事を目にしました。玉岡氏の作品を見て「作ってみたい」との思いに駆られ、住所と電話番号を見てすぐに問い合わせをしました。電話口で「お会いしたいです」と言うと、師匠は「おいで」と言ってくれました。
憧れの師匠と歩んだ1年間
その時持っていったのは、鉄板で作った、鐔とは呼べない鐔でした。自作の鐔を見せると、師匠は笑いながら「ようやっとるね」と言ってくれました。鐔とは呼べないものでしたが、師匠なりの配慮だったと思います。そして改善点を教えてくれました。
その日のうちに「弟子にしてください」とお願いしましたが「弟子はとらない」との返事。でも、2度と来るなとは言われませんでした。改善点を直し、また師匠のもとを訪れ、それを1年繰り返しました。今思うと、師匠はあの時、自分の人間性や熱意を試されていたように思います。
1年後、師匠の手ほどきの入った鐔が出来上がりました。その時師匠から「じゃあ、共にやっていくか」と言ってもらいました。その時の作品は、妻の実家にあります。
その日のうちに「弟子にしてください」とお願いしましたが「弟子はとらない」との返事。でも、2度と来るなとは言われませんでした。改善点を直し、また師匠のもとを訪れ、それを1年繰り返しました。今思うと、師匠はあの時、自分の人間性や熱意を試されていたように思います。
1年後、師匠の手ほどきの入った鐔が出来上がりました。その時師匠から「じゃあ、共にやっていくか」と言ってもらいました。その時の作品は、妻の実家にあります。

家族の理解に支えられて
鐔を作るには、お金も時間もかかります。主な材料は、玉鋼、金など希少で入手が難しく高価なものです。また、道具も必要です。成形した鐔を細かく削る糸鋸の刃だけでも13種類もの刃を使い分け、1つの鐔を作るのに700~800本ほど (作品により変動) を使います。
妻は3人の子育てをしながら、資金面でも理解を示してくれました。子どもと一緒に出かけるのは年に1~2回。今は子どもたちも成長してそれぞれの場所で活躍していますが、自分が鐔制作を続けられたのは、妻の支えと、家族の理解のおかげです。
妻は3人の子育てをしながら、資金面でも理解を示してくれました。子どもと一緒に出かけるのは年に1~2回。今は子どもたちも成長してそれぞれの場所で活躍していますが、自分が鐔制作を続けられたのは、妻の支えと、家族の理解のおかげです。

思いどおりに
いかないのが魅力
いかないのが魅力
「金線」を施す際には、0.12~0.07mmまで6種類の金を段階的に細く、丁寧に細工します。緻密でありながら、細部に至るまで均一に細工を施しています。
鐔の魅力は、思いどおりにいかず近寄ると離れていく感じがするところです。創作活動の根幹は、人と比べることではなく、自分との戦いだと考えています。
鐔の魅力は、思いどおりにいかず近寄ると離れていく感じがするところです。創作活動の根幹は、人と比べることではなく、自分との戦いだと考えています。

ホンモノを見る機会を増やしてほしい
子どもの可能性は無限です。素直で忖度がありません。そこがすごく良いところで、伸ばしてほしいです。
子どもたちには、とにかくホンモノを見てほしいです。付加価値に惑わされず、自分が好きか嫌いか。そのためには好きなものを「好き」と言える、周りの人たちの環境づくりが大切です。そして、身近にある美を感じてほしいと思います。
足飛びにはできないかもしれませんが、日常的にアートに接してほしいです。鐔のような工芸、絵画、伝統芸能、表現もさまざまです。日常の延長線上にアートはあります。
子どもたちには、とにかくホンモノを見てほしいです。付加価値に惑わされず、自分が好きか嫌いか。そのためには好きなものを「好き」と言える、周りの人たちの環境づくりが大切です。そして、身近にある美を感じてほしいと思います。
足飛びにはできないかもしれませんが、日常的にアートに接してほしいです。鐔のような工芸、絵画、伝統芸能、表現もさまざまです。日常の延長線上にアートはあります。

