○宇和島市環境基本条例

令和2年12月18日

条例第47号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第7条)

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策(第8条―第24条)

第3章 環境審議会(第25条―第27条)

第4章 雑則(第28条)

附則

私たちのまち宇和島は、西は宇和海に面し、沿岸には入り江と半島が織りなす変化に富んだリアス式海岸が続き、東は千メートル超の鬼ヶ城山から南北に連なる山々が屏風のように取り囲む。その尾根から海まで急峻に迫る地形や田園風景は、四季折々に異なる姿を見せ、豊かな自然環境と温暖な気候は、この地に暮らす私たちに大きな恩恵を与えている。

この恵み豊かな環境は、先人から受け継いだかけがえのないものであり、過去から現在へと長い年月を掛けて、独自の歴史と薫り高い文化を育み、水産業や農業をはじめとした産業を発展させてきた。

しかしながら、近年の大量生産、大量消費及び大量廃棄を基調とした社会経済活動は、私たちに物質的な豊かさをもたらし、生活の利便性を高めた一方で、地球温暖化、海洋汚染、生態系の破壊など、地球環境に重大かつ深刻な影響を及ぼし、人類の生存基盤を脅かすまでに至っている。

私たちは、健康で文化的な生活を営むため、健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受する権利を有するとともに、将来の世代に引き継いでいく責務を有している。

このような認識のもと、全ての者が連携し、恵み豊かな宇和海をはじめ宇和島のかけがえのない環境を保全し、より良好な環境を創り出すとともに、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の実現を目指し、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全及び創造に関して、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務並びに滞在者の協力について明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

(1) 環境の保全及び創造 現在及び将来の市民が健康で文化的な生活を営むことができる生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)、自然環境その他の環境を維持するとともに、より良好な環境を創り出すことをいう。

(2) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(3) 地球環境の保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(4) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全及び創造は、市民が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受するとともに、これが将来の世代に継承されるよう適切に行われなければならない。

2 環境の保全及び創造は、環境への負荷の少ない持続的な発展が可能な社会が構築されることを目的として、全ての者が連携し、公平な役割分担の下に自主的かつ積極的に行われなければならない。

3 地球環境の保全は、市、市民及び事業者が自らの課題としてとらえ、それぞれの施策、日常生活及び事業活動において積極的かつ着実に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める環境の保全及び創造についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、廃棄物の減量、資源及びエネルギーの有効利用等により、日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 前項に定めるもののほか、市民は、基本理念にのっとり、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するために、必要な措置を講ずる責務を有する。

2 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に係る製品その他の物が廃棄物となった場合に、その適正な処理が図られることとなるように、必要な措置を講ずる責務を有する。

3 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全上の支障を防止するため、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

4 前3項に定めるもののほか、事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動に関し、これに伴う環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力する責務を有する。

(滞在者の協力)

第7条 滞在者(労働、就学、観光その他の目的で本市の区域内に滞在する者をいう。)は、基本理念にのっとり、その滞在に伴う環境への負荷の低減に努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策に協力するよう努めなければならない。

第2章 環境の保全及び創造に関する基本的施策

(施策の基本方針)

第8条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を策定し、及び実施するに当たっては、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づき、各種の施策相互の有機的な連携を図りつつ総合的かつ計画的に行わなければならない。

(1) 市民の健康を保護し、及び生活環境を保全するため、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 豊かな自然環境を継承するため、生態系の多様性の確保を図るとともに、海をはじめ、森林、農地、水辺等の多様な自然環境を地域の自然的社会的条件に応じて適切に保全すること。

(3) 良質な生活環境を確保するため、人と自然の豊かなふれあいを保つとともに、歴史的文化的資源等の地域の特性を生かした良好な景観の形成及び災害に強いまちづくりの推進に努めること。

(4) 地球環境の保全に資する環境への負荷の少ない循環型社会を構築するため、廃棄物の減量及び適正処理並びに資源及びエネルギーの有効利用を推進すること。

(環境基本計画)

第9条 市長は、環境の保全及び創造に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、宇和島市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画に市民、事業者又はこれらの者が組織する団体(以下「市民等」という。)の意見が反映されるように、必要な措置を講ずるものとする。

4 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、あらかじめ、第25条に規定する宇和島市環境審議会の意見を聴かなければならない。

5 市長は、環境基本計画を定めたときは、速やかに、これを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境の状況等の公表)

第10条 市長は、環境の状況、環境の保全及び創造に関する施策の実施状況等について報告書を作成し、これを公表するものとする。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第11条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図るとともに、環境の保全及び創造に配慮しなければならない。

(規制の措置)

第12条 市は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(財政上の措置)

第13条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

(自然環境の整備等)

第14条 市は、公園、緑地その他の公共的施設の整備その他の自然環境の適正な整備及び健全な利用のための事業を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(快適な生活環境の確保)

第15条 市は、快適な生活環境を確保するため、市民等と連携し、緑化の推進、良好な景観の形成その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(循環型社会構築の推進)

第16条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民等による廃棄物の減量及び適正な処理並びに資源及びエネルギーの有効利用が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たって、廃棄物の適正な処理を行うとともに、廃棄物の減量並びに資源及びエネルギーの有効利用に積極的に努めるものとする。

3 市は、環境への負荷の低減に資する製品等の利用が促進されるよう努めるものとする。

(環境教育及び学習の促進等)

第17条 市は、市民等が環境の保全及び創造についての理解を深めるとともに、市民等の環境の保全及び創造に関する活動を行う意欲が増進されるようにするため、環境教育及び学習の促進並びに広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(助成等の措置)

第18条 市は、市民等が環境への負荷の低減のための施設の整備その他の環境の保全及び創造に資する措置をとることを助長するため、必要な助成その他の措置を講ずるように努めるものとする。

(市民等の自発的活動の促進)

第19条 市は、市民等が自発的に行う環境美化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全及び創造に関する活動を促進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(協定の締結)

第20条 市は、環境の保全上の支障を防止するため、特に必要があると認めるときは、事業者との間で公害の防止その他の環境の保全に関する協定を締結することができる。

(調査の実施)

第21条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を適正に実施するため、環境の状況その他の環境の保全及び創造に関して必要な調査を実施するものとする。

(施策の推進体制の整備)

第22条 市は、環境の保全及び創造に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、体制の整備その他の必要な措置を講ずるものとする。

(国及び他の地方公共団体等との協力)

第23条 市は、環境の保全及び創造に関する施策で、広域的な取組を必要とするものについては、国及び他の地方公共団体等と協力し、その推進に努めるものとする。

(地球環境の保全の推進)

第24条 市は、市民等と連携し、地球環境の保全に関する施策の推進に努めるものとする。

2 市は、国及び他の地方公共団体等と連携し、地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。

第3章 環境審議会

(設置及び所掌事務)

第25条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、宇和島市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、環境の保全及び創造に関する基本的事項等について調査審議する。

(組織及び任期)

第26条 審議会は、14人以内で組織する。

2 委員は、学識経験者その他市長が適当と認める者のうちから、市長が委嘱する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、再任を妨げない。

4 委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(規則への委任)

第27条 前2条に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、規則で定める。

第4章 雑則

(委任)

第28条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、令和3年1月1日から施行する。

(宇和島市環境審議会条例の廃止)

2 宇和島市環境審議会条例(平成17年条例第140号)は、廃止する。

(経過措置)

3 この条例の施行の際、現に前項の規定による廃止前の宇和島市環境審議会条例第3条第2項の規定により宇和島市環境審議会の委員に委嘱されている者は、第26条第2項の規定により委嘱された宇和島市環境審議会の委員とみなし、その任期は、同条第3項の規定にかかわらず、令和3年3月31日までとする。

宇和島市環境基本条例

令和2年12月18日 条例第47号

(令和3年1月1日施行)

体系情報
第8編 生/第3章 生/第3節 環境保全
沿革情報
令和2年12月18日 条例第47号