○宇和島市議会政治倫理条例
令和元年9月26日
条例第29号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その負託に応えるため、宇和島市議会議員(以下「議員」という。)の政治倫理の基本となる事項を定めることにより、議員が市民全体の奉仕者として政治倫理の確立と向上に努め、常に良心に従い誠実にその職務を行うことを促し、もって市民に信頼される公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員及び市民の責務)
第2条 議員は、市民全体の奉仕者として市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨に従ってその使命の達成に努めなければならない。
2 市民は、主権者として自らも市政を担い、公共の利益を実現する責任を負うことについて自覚を持ち、議員に対して、その権限や地位に基づく影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
3 議員は、その職に就任後速やかに議長にこの条例を遵守する旨の誓約書を提出しなければならない。
(政治倫理規準)
第3条 議員は、次に掲げる政治倫理規準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の奉仕者として、その品位と名誉を損なうおそれのある行為及びその職務に関し不正の疑惑を招くおそれのある行為をしないこと。
(2) 常に市民全体の利益の実現を目指して行動し、その地位を利用していかなる金品も授受しないこと。
(3) 市及び市が関係する団体(以下「市等」という。)が締結する売買、貸借、請負その他の契約に関し、特定の業者を推薦し、又は紹介する等有利な取り計らいをしないこと。
(4) 市職員等の公正な職務執行を妨げ、又は当該職員の権限若しくは地位による影響力を不正に利用するよう働きかけをしないこと。
(5) 市等が行う許可、認可、請負その他の契約に係る企業、団体及び事業主から政治活動に関する寄附を受けないこと。また、その後援団体についても政治的、道義的批判を受けるおそれのある寄附を受けないこと。
(6) 市職員等の採用、昇任又は人事異動に関して、特定の個人を推薦し、又はこれらの人事に介入しないこと。
(7) 暴力団等反社会的勢力を利用しない、暴力団等反社会的勢力に利用されない、又は暴力団等反社会的勢力に関与しないこと。
(8) セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、その他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
(9) 市から活動及び運営に対する補助並びに助成を受けている団体等(以下「団体等」という。)の役員に就任することは妨げないが、その地位による影響力を不正に行使しないこと。ただし、団体等の長については、就任しないように努めること。
2 議員は、政治倫理規準に違反する事実があるとの疑惑をもたれ、政治的又は道義的な批判を受けたときは、自ら誠実な態度をもって当該疑惑を解明するよう努めなければならない。
(請負契約の辞退)
第4条 議員は、個人が役員をなす法人等が請負をすること等の禁止を定めた地方自治法(昭和22年法律第67号)第92条の2の趣旨を尊重し、議員が役員と同程度の執行力及び責任を有する法人等は、市等が行う工事の請負契約、業務委託契約及び物品納入契約(以下「請負契約等」という。)の入札に参加することができない。また、これらの契約を随意契約によることもできない。
2 前項の規定の適用については、災害等特別な理由があるときはこの限りでない。
(請負辞退の範囲等)
第5条 前条の適用に当たっては、次のいずれかに該当するものとする。
(1) 議員の配偶者及び同居の親族が経営する法人等
(2) 議員の2親等以内の親族が経営し、かつ、議員が年額120万円以上の報酬(住宅、自動車その他の便宜供与を含む。以下この項において同じ。)を受けている法人等
(3) 議員が現に、1/3以上の株式等を有している法人等
2 前項の規定に該当する法人等がある議員は、市民に疑惑の念を生じさせないため、責任をもって関係企業の請負契約等の辞退届を提出させるよう努めなければならない。
3 議員は、第1項に規定する法人等がある場合は、議長に兼業報告書を提出し、1年に1度市広報・宇和島市議会のホームページ等への掲載により公表する。
(政治倫理審査会の設置)
第6条 政治倫理の確立のため、宇和島市議会政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
2 審査会の委員は、有識者の8人以内とし、議長が議会運営委員会に諮って任命する。
3 審査会の委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
4 審査会の委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
2 前項の議員の選挙権を有する者とは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第22条の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録された者とする。
(審査会の審査)
第8条 審査会は、審査を求められたときは、当該審査請求の適否及び政治倫理規準等に違反すると認められるか否かについて審査する。
2 審査会が審査請求者及び審査対象議員に対して、会議への出席の要請、審査に必要な資料の提出その他の協力を求めたとき、審査請求者及び審査対象議員はこれに従い、かつ、誠実に応える義務を負う。
3 審査会は、審査が終了したときは、速やかに審査の結果を報告書により議長に報告する。
(政治倫理規準違反の措置)
第9条 審査会は、審査対象議員が政治倫理規準に違反すると認められる事実があるときは、議長に対し、次に掲げる措置を講ずるよう求めることができる。
(1) 戒告
(2) 陳謝の勧告
(3) 議会内での役職辞任の勧告
(4) 一定期間の出席自粛の勧告
(5) 辞職の勧告
(6) その他必要と認める措置
(資産報告書等の提出義務)
第10条 審査会は、審査のため必要があるときは、審査対象議員に対し、資産報告書等の提出を求めることができる。
2 審査会は、前項の規定による資産報告書等の提出があった場合において、審査会が必要と認めるときは、これを公表することができる。
(釈明の機会の保障)
第11条 審査会は、審査対象議員から審査会において釈明したい旨を求められたときは、その機会を保障しなければならない。
(信頼回復のための措置)
第12条 審査対象議員は、審査報告書において、当該議員の行為が政治倫理規準に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、市民の信頼を回復するために必要と認められる措置を講じなければならない。
2 議会は、当該議員が前項の措置を自ら講じないときは、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するための必要な措置を講じるものとする。
(委任)
第13条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
この条例は、令和3年4月1日から施行する。