○宇和島市男女共同参画推進条例

平成18年10月4日

条例第56号

(前文)

宇和島市は、温暖な気候と豊かな自然に恵まれ、多くの先人たちの活躍により、伸びやかで和やかな気風と多彩な文化を育んできた。この宇和島市の風土を生かし、豊かで活力ある社会を築いていくためには、すべての人々が個人として尊重され、自らの意思によって個性豊かで多様な生き方を選択することができる社会を実現させることが求められる。しかしながら、一方ではこの地で温存されてきた慣習の中には、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して影響を及ぼしているものも多く残っている。男女が差別されることなく、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会を実現させ、市民が様々な分野で活躍できる「まち」を創らなければ、宇和島市の発展は望めない。

このことから、男女共同参画社会の実現を21世紀の宇和島市における最重要課題と位置づけ、社会のあらゆる分野において、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の推進を図って行く必要がある。

そこで、男女共同参画基本法の趣旨を踏まえ、また農林水産業の従事者が多いことなどの地域の特性に配慮しつつ、市、市民、事業者、県及び国との連携と協働により、男女が互いにその人権を尊重し、共に支えあい、生き生きと輝いて活躍することができる男女共同参画社会の早期の実現を目指し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに市、市民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画社会の形成 男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。

(2) 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性別を問わず、継続的な人間関係において、優位な力関係を背景に、相手の意思に反して行われる性的な言動のことをいう。なお、単に雇用関係にある者の間のみならず、施設における職員とその利用者との間や団体における構成員間など、様々な生活の場が対象となる。

(基本理念)

第3条 男女共同参画社会の形成は、次に掲げる事項を基本理念として、行われなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んぜられること、性別による差別的取扱いを受けないこと、社会のあらゆる分野において個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

(2) 社会における制度又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響を、できる限り中立なものとするように配慮されなければならない。

(3) 社会のあらゆる分野において、男女が対等な構成員として、施策又は方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動と家庭以外の社会のあらゆる分野における活動とを、両立して行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。

(5) 男女ともに生涯を通じて健康な生活を営むことができることを旨として、行われなければならない。

(6) 国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、国際的協調の下に行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

2 市は、男女共同参画社会の形成の促進に当たっては、市民、事業者、県及び国との連携に努めるものとする。

(市民の責務)

第5条 市民は、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。

2 市民は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業に従事する男女について、能力や適性に応じて事業活動に参画する機会を等しく確保し、公正に評価するよう努めるとともに、仕事、家庭生活、地域生活等の活動に参画できる就業環境を整備するよう努めなければならない。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

(性別による権利侵害等の禁止)

第7条 何人も、社会のあらゆる分野において、性別による差別的な取扱いをしてはならない。

2 何人も、社会のあらゆる分野においてセクシュアル・ハラスメントをしてはならない。

3 何人も、夫婦間、恋愛関係にある男女間その他親密な関係にある男女間において、身体的、性的、経済的、精神的苦痛を伴う暴力的行為をしてはならない。

4 市は、前3項の規定に違反する行為による被害を受けた者に対し、必要に応じた支援を行うものとする。

(基本計画)

第8条 市長は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するための基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 総合的かつ長期的に講ずるべき男女共同参画社会の形成の促進に関する施策

(2) 前号に掲げるもののほか、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、基本計画を策定するに当たっては、あらかじめ、広く市民の意見を聴くとともに、宇和島市男女共同参画審議会へ諮問するものとする。

4 市長は、基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、基本計画の変更について準用する。

(積極的改善措置)

第9条 市は、市民及び事業者が積極的改善措置を講ずるために必要な情報の提供、相談、助言その他の支援を行うものとする。

2 市は、審議会等の附属機関その他これに準ずるものの構成員を委嘱し、又は任命する場合は、積極的改善措置を講ずることにより男女の構成員数の均衡を図るよう努めなければならない。

(農林水産業等の分野における環境整備)

第10条 市は、農林水産業及び自営の商工業等の分野において、男女が主体的に能力を十分に発揮し、対等な構成員として経営その他方針の立案及び決定の場に参画する機会が確保される社会を実現するため、関係者との協働により必要な環境整備を行うものとする。

(調査研究)

第11条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を策定し、効果的に実施していくため、必要な調査研究を行うよう努めなければならない。

(広報活動)

第12条 市は、市民、事業者及びその他団体が、男女共同参画社会の形成に関して理解を深めることができるよう、広報活動等の適切な措置を講ずるものとする。

(男女共同参画の推進に向けた支援)

第13条 市は、市民、事業者及びその他団体が行う男女共同参画社会の形成の促進に関する自主的な活動を支援するため、情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第14条 市は、男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、男女共同参画社会の形成に配慮しなければならない。

(年次報告)

第15条 市長は、毎年、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況等について報告書を作成し、これを公表するものとする。

(財政上の措置等)

第16条 市は、男女共同参画社会の形成の促進に関する必要な財政上の措置その他の措置を講ずるものとする。

(事業者からの報告)

第17条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対し男女共同参画の状況その他の必要な事項について報告を求めることができる。

(苦情の処理)

第18条 市長は、市が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について、市民又は事業者からの苦情の申し出があったときは、適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

(男女共同参画審議会の設置)

第19条 男女共同参画社会の形成の促進に関し、次に掲げる事務を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定により、宇和島市男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を置く。

(1) 市長の諮問に応じ、基本計画その他男女共同参画社会の形成の促進に関する重要事項を調査審議すること。

(2) この条例の適正な運営に関する事項及び男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況について、必要に応じて調査審議し、市長に意見を述べること。

2 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

1 この条例は、公布の日から施行する。

宇和島市男女共同参画推進条例

平成18年10月4日 条例第56号

(平成18年10月4日施行)