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宇和島市の今後の過疎対策に関する答申(吉田地域審議会)

印刷用ページを表示する 記事ID:0000230 更新日:2015年7月1日更新

PDF版はこちら 答申書(吉田地域審議会)(PDFファイル:35KB)

(1)新たな過疎対策法の制定に向け、今後の宇和島市の過疎対策に望むこと

 現在の吉田地域の状況を俯瞰すると、合併に伴い行政機構が本庁主導型になったことにより、吉田支所の事務権限が縮小され、住民、特に高齢者にとっては行政との係わりにおいてかなり不便な状況を呈している。

 また、旧宇和島市にすべてが収束していきつつある中、商店街の疲弊は更に加速し、第一次産業の低迷と相まって、吉田という伝統ある地域の文化的・風土的な特性が風化していくのではないかと、将来に対する閉塞感と不安感を抱く住民はかなりの数に上ると思われる。更に若年者層の人口流出と高齢化は益々進行しており、吉田地域の活力低下が憂慮されるところである。

 この度、過疎対策法の制定に向け、新たに宇和島市の過疎に関する方向性を検討するに当り、吉田地域審議会としては、吉田地域のみでなく宇和島市全域においても、格差のない街づくりを目指し、ハード面の整備及び地域間交流等のソフト面での各種事業の推進を軸に、ここに答申する。

産業振興

農業・水産業等の第1次産業の活性化のために生産基盤の整備と維持、担い手の確保育成に取り組まねばならない。そのためには地域の特性を生かした魅力ある定住環境作りやグリーンツーリズム等による都市部との交流を積極的に推進することが必要である。

 また、地場産業の活性化に努めるとともに、合併後停滞している商業地域の機能回復を図ることが重要である。

  1. 産業振興に係る補助事業制度を拡充すること
  2. 農家と都市住民や企業との交流を図り、定住を促進すると共に、共同販売等のシステムを確立すること
  3. 温州みかん発祥の地として、PRを推進すること
  4. 企業誘致を促進し、働く場所を確保し、若者の定住化を図ること
  5. 各地域の交流拠点を有効活用すること
  6. 商工会と連携をとり、地場産業や商店街の活性化を図ること
  7. 地産地消を推進し、地域住民へ啓発すること
  8. 観光面として法華津峠の再開発・東蓮寺ダムの整備・大良から小島へ行く道の整備を実施すること

交通通信体系の整備、情報化及び地域間交流の促進

高速道路の開通が平成22年~23年頃に見込まれており、高速交通サービスを享受できるようになる。しかし、吉田地域はインター間を結ぶ路線が国道56号のみであるため、近年予測されている南海地震や台風等による土砂災害等が発生し、道路が遮断された場合、緊急を要する医療や災害救助等が困難になる。また、インターまでの路線がないということは、地域間交流の停滞を招き、益々地域の過疎化が進む恐れがあるため、早急に高速道路までのバイパス道路を整備する必要がある。

 路線バスについては、近年廃止・休止が進んだため、高齢者等が交通手段を確保するためには、コミュニティバスの路線延長やデマンド型による交通網を近々に整備しなければならない。

 また、都市からの移住促進及び地域情報化のためにブロードバンド整備の推進が必要である。

  1. 市道の点検整備を進めること
  2. 国道56号(知永峠)の道路整備を実施すること
  3. 知永から大浦の道を整備すること
  4. 吉田地域と三間地域を結ぶ道路を整備すること
  5. コミュニティバスを拡充し、公共交通のない地域の足を確保すること。
  6. 各地域の交流拠点を有効活用すること
  7. 地上デジタル放送移行期に当り、地域全域が受信できるように対応すること
  8. ブロードバンドの整備を推進すること。

生活環境の整備

 過疎地域は人口が少なく家屋も点在しており、地理的・自然的条件も加わって街中と同じような整備が困難であることが人口の流出の一因となっている。

 今後は、生活環境の向上のために、下水道の整備及び合併浄化槽の設置促進を図る必要がある。

 また、地域防災については高齢化の急速な進行により、自主防災組織が機能しない懸念がある。高い確率で予測されている南海地震に対応するためにも、円滑な組織運営が出来るような消防器具整備及び研修会の実施が喫緊の課題である。

  1. 生活排水路の改良、生活道路の補修、防疫剤の配布等周辺環境の改善を進めること
  2. 地域防災の組織の確立と組織ごとの活動訓練を推進すること

高齢者の保健及び福祉の向上及び増進

 吉田地域の人口に占める高齢者率は35.4%と高く、今後も更に進んでいくと予測される。このような状況の中、高齢者が住みなれた地域で、自立した生活を続けるには、在宅サービスの充実を図る必要がある。そのためには、支所に包括支援センターを設置し、高齢者の多様なニーズに応えることが出来る地域ケア体制、総合相談支援体制を確立していかなければならない。

 また、高齢者が健康で生き生きと暮らせるように定期巡回訪問制度を確立すると共に老人クラブを始め、ボランティア活動、コミュニティ活動の体制整備に努めることが必要である。

  1. 在宅介護を支援するためには包括支援センターを支所にも配置し、高齢者福祉専属職員を配置すること
  2. 愛生寮の早急な移転建設工事を実施すること
  3. 独居老人・高齢者・障害者宅への定期巡回訪問制度の確立すること
  4. 元気老人の育成と支援のために運動会・老人の集いの支援を実施すること
  5. クロッケー場の整備拡充、運動公園の使用料軽減及び運動公園へのコミュニティバス運行を実施すること
  6. コミュニティバスを拡充し、公共交通のない地域の足を確保すること
  7. 各地域でのボランティア大会等を開催する等ボランティア活動の支援を実施する

医療の確保

 市立吉田病院は住民にとって地域の医療拠点として重要な役割を担ってきたが、ここ数年来の医師不足、病床閉鎖等による市立吉田病院機能の縮小は、住民に必要な医療が直ぐに受けられないという不安を抱かせており、深刻な問題となっている。

 医療サービスが宇和島病院に集中化されることは、高齢者が旧宇和島市内まで行かなければならなくなり、公共交通の不足する地域で、多くの時間と労力を費やす結果となる。以上の理由から市立吉田病院の存続と内容の充実及び市立宇和島病院との連携は不可欠なものである。

 また、地域住民が適切な医療を受けられるためには、各公的病院、介護老人施設等とネットワークの整備を促進していく必要がある。

  1. 市立吉田病院に新たに常勤医師と看護師を確保すると共に市立宇和島病院から市立吉田病院の外来各科へ医師を派遣すること
  2. 地域医療充実のための人材育成及び補助制度の確立を図ること。
  3. 吉田地域に総合保健福祉センターを建設すること
  4. 地域的に多いと見られる疾患の原因を探求すること

教育の振興

 学校の統廃合については、単に財政的な問題や生徒数を論点として検討するだけでなく、小学校のもつ地域的意義及び通学時間や交通状況が児童生徒に与える影響並びに統合による教育活動への影響等を十分検討し、地域住民の理解の下に進めることが肝要である。

 また、市町村合併により、宇和島市という単位で郷土を語ることも必要だが、吉田地域の歴史や伝統文化及び伝統行事の継承等について学習し、地域を守ることの意義を学び、ふるさと意識を高めていくことが必要である。

 社会教育については、公民館の持つ重要な役割を再認識し、生涯学習社会の実現に向けた事業の展開及び公民館の改修・建設を推進する。

  1. 小学校の統廃合は地域住民の理解の下に慎重に検討すること
  2. 郷土読本の作成及び文化財・史跡見学等により郷土学習の推進を図ること
  3. 子育て支援のための放課後児童クラブの充実を図ること
  4. 公民館の改修・建設を進めること
  5. 公民館機能の充実を図り有効に活用することで地域の活性化・自立に繋げること
    1. 保健福祉の拠点(子育て支援・病児保育の検討)
    2. 住民活動の拠点(公民館活動の推進)
    3. 地域文化(センターとしての)拠点
    4. 住民票の発行サービス

地域文化の振興等

 市町村合併後、様々な催し物等が旧宇和島市に集中一極化していく中、地域文化を守り保存することは大変重要なことである。今後は地域住民の心を豊かにし、誇りと郷土愛を持てる、ふるさとづくりを進めるため、地域の文化を保護し、後継者の育成を図る。

  1. 郷土読本の作成及び文化財・史跡見学等により郷土学習の推進を図ること
  2. 吉田秋祭りの山車は重要な文化財であり、近隣市町村からも多くの方々が見学に来る。この歴史的遺産の保存・活用の支援をすると共に、現在山車の巡行に参加できない破損又は消失した文化財の補修及び復刻の支援を行うこと

集落の整備

 農業後継者の不足等による、過疎地域の人口減少は吉田地域でも進行しており、近い将来に集落としての維持が困難になる地域もある。そのため、人口の流出の防止を図ると共に、集落内の生活道・排水路の整備等の集落整備を進め、UJIターン者を確保する必要がある。

  1. 生活排水路の改良、生活道路の補修、防疫剤の配布等周辺環境の改善を図ること

その他

 過疎問題はそれぞれの問題が分割しているわけではなく、多岐に亘り複雑に絡み合っている。以上、通常の過疎地域自立促進計画にあるように項目ごとに分けて記載したが、縦割り的思考ではなく総合的かつ小地域に行き渡るような取り組みが必要である。

 また、過疎化の進行を止めるためにも、支所機能の充実と地域格差のない行政の在り方を検討する。行財政改革で支所機能の低下即ち住民サービスの低下を招くことがないようにしなければならない。基本はあくまで住民にとって便利で住みよい「まち」にするかである。

(2)今後の過疎対策においては、住民や各種団体等(住民団体、自治会、NPO、企業等)との連携による取り組みが重要になりますが、地域からの提案及び意見

 合併後、1市3町の各種団体等が宇和島市に統合されたことにより、宇和島市に本部を置き、吉田地域は支部として機能している組織が大半であるが、組織の拡大化や事業の宇和島集中化のため、地域性や自主性が失われていくことを危惧している。

 行政においては、地域を支える住民活動や組織の育成・支援が必要である。それは、単に行政に依存する組織を支援するということではなく、相互連携を推進し、情報技術等の提供を行う機能を持ち、地域課題を自ら解決できる組織を育成していくということである。

 また各種団体の連携を密にするため、定期的な会議の開催や行政に係る事業の一部を各種団体に任せる等、地域が一体となった、事業のボーダーレス化を図ること。今回“「みかん研究所」への視察者に吉田町内への昼食を斡旋・小学校、保育所等への緊急時のお迎えサービス・路上駐車の見回り”等の意見が委員から出たが、このような事業の実現については、各種団体やボランティアの主導による実施が不可欠であろう。

 特に、高齢化社会にあっては地域に密着した活動を推進することが必要となるため、地域住民による団体活動組織の育成や支援が重要である。

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