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市指定 トントコ踊り

印刷用ページを表示する 記事ID:0002304 更新日:2019年3月12日更新

市指定無形民俗文化財

トントコ踊りの画像1トントコ踊り

  • 所在地 蒋淵
  • 所有者 トントコ踊り保存会
  • 指定日 昭和五二年一一月三日

 宇和海地区の蒋淵には、「トントコ踊り」とよばれる盆踊りがある。江戸時代に旱天・不漁・疫病がうちつづいたとき、昔、落鼻で遭難した平家の落人の祟りによるものと考え、正徳元(一七一一)年に、その落人の供養塔を落鼻に建てた。その時にはじまった供養の踊りといわれている。

 八月一三日の夜、二艘の舫い船を踊りの舞台として、蒋淵七浦を回漕しつつ、各浦の新盆を迎えた新仏と、各地区の神仏にささげられる。新盆の家は、酒一升と肴を献じて新仏の供養に踊ってもらうのである。

 一五日は、昼間の踊りで、まず、蒋淵に祀られている神々に踊りを捧げる。タンゴ様には日向踊り、戎様には宮島踊りといったように、神様ごとに、献ずる曲目がほぼ決まっている。踊りは陸を背にし、沖を正面にして踊る。さらに落鼻の沖でも、四八人の平家の落人の霊をなぐさめるために、四八庭(庭とは踊りの回数)の踊りを納める。このときは踊りの数をまちがえないように、一庭ごとに竹筒に刻みをいれ、全部の踊りが終わると、その竹筒に酒をつめて海に流す。そのあとは絶対にふりかえってはいけないという禁忌がある。

 踊り手は、昭和二五・六年頃までは、一四戸ほどあった網元のオーゴ(網子)が、になっていたが、現在は青年団員が踊る。踊り手八人は右手に一mほどの紙垂(紙のフサを竹の両端に飾った棒)を、体の前で、八の字にまわしながら、太鼓・鉦・口説きにあわせて踊る。

 踊りは宮島踊り・住吉踊り・寺見踊り・花見踊り・新吾踊り・日向踊りの六種をかぞえる。たとえば宮島踊りの歌詞は次のようなものである。

一、 宮島の三艘組んだる先船に/召したる物は何に何にぞ/綾や錦の織物や(よ)綾や錦の織物や(よ)/トントンエー トコトントントン/エイトコトンイヤシボリコイ

トントコ踊りの画像2二、中なるお船に召したるものは何に何にぞ/戎・大黒・福の神/御座をそえては御召しある/トントンエー(以下同様)

 これらの歌章には、豊漁・航海安全を祈願したり、恋の歌をうたい新仏の鎮魂をはかるものが多い。

 一三日の夜がふけるのも忘れて、トントコ、トントコという鉦・太鼓の音にあわせて若者たちが踊り、ひと庭ごとに住民が踊り船に向かって拍手をおくる。新盆の家々では、この踊りで故人への思いをあらたにするのである。


文化的景観
埋蔵文化財