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市指定 木造阿弥陀如来立像

印刷用ページを表示する 記事ID:0002264 更新日:2015年7月1日更新

市指定有形文化財(彫刻)

木造阿弥陀如来立像木造阿弥陀如来立像 一躯

  • 所在地 津島町北灘網代
  • 所有者 瑞林寺(国永地区管理)
  • 指定日 昭和四二年三月六日

 瑞林寺は、吉田古記に、「慈済寺の末寺で禅宗、本尊阿弥陀」と見えている。しかし、現在の津島町誌では、廃寺となった寺院として扱われ、「庵寺として今も存在する。町指定有形文化財の木造阿弥陀如来像が安置されている」と記されている。

 その阿弥陀如来像は、像高八〇cmの一木造の立像である。後頭部を縦に割いて内刳りし、玉眼を嵌はめ、再びはぎ合わせている。このことから、鎌倉時代あるいはその後の作であることが分かる。

 眼は下目で、至って細目に作られ、白毫は水晶を用いず木彫としている。

 面相は穏やかであるが、鼻頭、上唇の一部が剥落し白色の顔料が見えている。口もとがやや盛り上ってとがっているが、これはこの時代の特徴であろうか。

 印相は、普通に見られる上品下生(来迎印)である。右手の施無畏印の小指が欠員し痛々しい。

 衲衣の襞や衣文の流れが素直で平行、彫りもきれいである。金泥仕上げであるが、年を経て今では大部分が剥落している。高度な技術も持った仏師の手になるものであろうが、仏師名は不詳である。

 台座は蓮華座、光背は欠損。白木の簡単な厨子に安置されている。

 明治の初めころ彩色の補修のため、仏師のもとに送った。修理が終わり檀家の代表が引き取りに行ったところ、同じような仏像が二体並べてあり、「好きな方を持って帰れ」といわれた。

 代表は”ハタ”と困り、二体を見つめたところ、片方の仏像が目くばせをした。代表は「これこそ瑞林寺のもの」といって引き取って帰ったのが、この仏像という。

 この「目くばせ」は、地元の人々の信仰を一層深め、「目びきの阿弥陀」として信仰されている。


文化的景観
埋蔵文化財