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県指定有形文化財(建造物)
禅蔵寺薬師堂 一棟
この建物は、禅蔵寺本堂の南側にあり、一辺三間(桁行五・六一m、梁間五・六二m)一重、宝形造、茅葺である。創建は室町時代末期とされ、その様式を残して江戸時代中期に再建された。一見素朴な草庵風の建物である。外まわりの柱上には組物を乗せず、柱、軒、外壁、諸組等が華美ではない。柱、花頭窓、軒材等は創建当時の材であることがうかがわれる。内部意匠は来迎柱、大虹梁、大瓶束を備える禅宗様三間堂で、特に花頭窓は禅宗様の古い形のものである。
建築の年代を推定する資料として、後世に書かれた板札があるが、それには天正年間(一五七三~九一)とある。しかしこの寺の伝説では、天文九(一五四〇)年ごろ現畑地鶴が森の鶴御前のため天が森城主越智通孝が祈願寺として建立したと伝えられている。
現在の建物は、昭和六三年から平成元年度の二か年で解体修理が行われた。また茅葺屋根は、日照・風通しなど、立地条件が良くないため、五~六年ごとに葺き替え修理が必要で、平成二一年三月にも修理を行っている。
花頭窓
大虹梁と大瓶束