本文
県指定有形文化財(彫刻)
木造童形御神像 一躯
高田八幡神社の童形神像は、像高一〇一・五cm、カヤ材、一木造で、内刳りはない。黒色の頭上及び頬・首・袍衣の深い部分に白色の彩色が残る。
髪は両肩の前に長く垂らし、袖の長い唐風袍衣をつけ、沓をはき、両足を開いて立っている。前に出した両肘は左高である。その両手首から先は失われている。目は彫眼で空目、口がやや開き下前歯四本が彫り出されている。相形は若宮風で額広く頬が張り、童形ながら気品高く、典雅・賢智・威厳のある像容である。
春日神社・岩清水八幡宮・宇佐八幡などの若宮像と共通しており、本像も若宮の神像として作られたものであろうと思われる。
宇和島出身で元神戸大学教授の毛利久博士は、像に「えくぼ」があるところから、鎌倉時代後期の作であろうと言われ、額の小さな穴は冠の跡か、白毫かは不明で今後の研究課題である。左耳たぶがやや腐食、裏面袍衣の裾に虫食いと残釘がある。
この神像のある高田八幡神社は、往古より点々と場所を変え、現在地の得寿森に遷座されたと言われている。また本社はこの界隈では一番大きい神社であったと考えられることから、童形神像がここに連綿と祀られ続けて今日に至ったものであろう。