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市指定 須弥壇と勾欄

印刷用ページを表示する 記事ID:0002232 更新日:2019年3月12日更新

市指定有形文化財(建造物)

須弥壇と勾欄 須弥壇と勾欄 一基

  • 所在地 津島町上畑地大門
  • 所有者 禅蔵寺
  • 指定日 昭和四一年四月一日

 この須弥壇と勾欄は、県指定有形文化財(建造物)禅蔵寺薬師堂にある建造物である。作られた時代は、天文の頃(一五三二~一五五四)である。

 須弥壇とは、仏像を安置したり、厨子や宮殿を置くために床面より高く設けた壇である。上代は石造や土造であったが、平安時代以降は仏堂が板床張りになったので、須弥壇も木造が多くなった。

 本須弥壇は、木造で横二五六cm、高さ七五cm、奥行き一二〇cmで、平面は長方形である。構造は禅宗様(唐様)、素木造りで楚々として美しい。

 上下の框にわかれて、それぞれに複雑な繰型がとりついている。さらに上下の框の間が角束によって三つの間に仕切られている。

 その仕切られた正面中央の間には、牡丹の花模様の透かし彫り、左右の間には牡丹の花と獅子が中央に向かい合った形の透かし彫りが、はめ込みとなっている。いずれも黒を背景に鮮やかに浮かんで見える。

 あえて彩色にせず、上下の框の素材を変えることによって色調の妙をとらえた大工棟梁の意匠に注目される。

 勾欄(高欄)は、普通には欄干・手摺と呼ばれている。この場合は、須弥壇の上に巡る勾欄である。長い横木と短い柱(束)とで出来ている。横木の一番下を地覆といって繰型のある角材、中央を平桁といって成の低い角材、一番上は丸材で架木という。この三段の横木は、四隅の親柱や束で固められている。

 本勾欄も禅宗様で棕をもった親柱は、頭部が蓮華形逆蓮柱である。平桁と架木との間にある斗束には蓮葉が用いられて荷葉束となっている。なお、地覆と平桁の間には向花・返花付き蓮華束で飾られている。さらに、架木の先端はきゅっと曲がって、蕨手を作っていたが今はない。禅宗様の典型である勾欄の蕨手の欠損は、惜しまれる。

 彩色の剥落の状態から時代を感じさせる禅宗様の典型的勾欄は、実に見事な出来栄えである。
(注)棕=柱の上下の、次第に円みをもってすぼまった部分。

獅子のすかし彫りの画像
獅子のすかし彫り

ぼたんのすかし彫りの画像
ぼたんのすかし彫り


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