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第12回「一緒に暮らす」

印刷用ページを表示する 記事ID:0022475 更新日:2018年3月15日更新

一緒に暮らす

 このところ私の30代、40代の友人の間で、シェアハウスに住んだ経験のある人が増えてきた。家賃が比較的手頃なのと、居住者間の程良い距離感が好まれる理由と思われる。
 都会では、一人世帯が多くの割合を占める中、煩わしい人間関係は避けたいが、暮らしの中に、程良く人のぬくもりを感じ合え、必要に応じて支え合うことによって、「安心」と「安全」と「楽しさ」がいい塩梅につまった「快適な暮らし」を求めてのことだろうか?

 実は私も故郷島根を離れて、関西の大学に入学した時に、今でいうシェアハウスに住むことになった。その頃、私の様に地方から都会に出てきた大方の学生は、食事の付かない木造の「下宿」に住んでいた。
 私の住んでいたところは、木造ではなく、マンション4階の一角で、以前会社の寮として使われていたところで、3畳の洋室が4部屋、6畳和室1部屋、8畳和室1部屋と、トイレ、風呂、台所、食堂が共同になっていた。格安で、布団と衣類さえ持ち込めばすぐに生活できたし、両親にしたら、何も分からない田舎娘が都会で生活を始めるには、「安心」、「安全」だったと思う。

 暫くして、8畳和室に間借りしていた社会人の女性が転居され、マンションオーナーの実母が住まれることになった。おばあさんは、とても気さくで明るかったこともあり、直ぐに私たちと馴染まれ、それまでの空気が一転して、まるで家族の様に暮らすようになった。
 掃除や風呂当番を決め、夕食は先に帰宅したものが作るというルールをみんなで決めたが、絶対の規則ではなく、基本的に良心に従い、自分たちをあまり縛りつけないようにした。
 みんなが遅くなったときには、よくおばあさんが簡単な夕食を作って下さり、感謝しながらおばあさんの部屋で一緒に食べた。また、何か祝い事があれば、各自のボーイフレンドも呼んで、紹介し、大いにしゃべり、食べ、後でおばあさんに相性の良し悪しや「品定め」(?)をして頂き、若き乙女たちは神妙な面持ちで、おばあさんの言葉に耳を傾けた。
 人生の大先輩の眼力は実に良く当たった。安心感があって、とても住み心地が良かった。

 先日、テレビで、若い世代だけではなく、多世代が混じり合って暮らすシェアハウスを紹介していた。一人暮らしの高齢者が、子育て世代の他人の子どもと遊んでいたり、親子ほど年の違う異業種の若者と酒を酌み交わしながら、夜を徹して語り合う様子を見て、(私も仲間に加わりたい!)と思った。
 現在全国で、住宅の中だけではなく、地域全体で地域住民、移住者の多世代が混じり合って暮らす新しいコミュニティづくりが進んでいる。みんなが少しずつ我慢しながら、ほどほどのところで折り合いをつけ、困った時には助け合いながら、其々が其々に豊かな時間を十分に味わえるような「快適な居場所」が、どんどん増えていって欲しいと願っている。


宇和島市の移住支援
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